平成23年3月11日、東北地方に地震・津波という未曾有の大災害が起こった。
阪神大震災を経験した我々ではあるが、比較にはならない大災害である。
一日でも早く駆け付けたい気持ちはあるも(初動はDMATに任せましょう)、災害はあまりにも甚大で東北地方に行くことも大変である。その時にJMAT参加のFAXが送信されてきた。大阪府医師会は岩手県上閉伊郡大槌町にボランティアで出動するようである。早速、大学病院時代の仲間とチーム(医師3名、薬剤師1名、看護師2名、事務方2名の計8名)を組み応募をする。4月半ば、5月17日〜21日に出動という連絡があり。2カ月が経過してからの出動となる。現地での医療活動への意気込みと不安とを抱え花巻空港に降り立った。車で移動しながら、ニュースで見ていたあの光景が目の前に。大槌町に入ると、更に悲惨な光景が延々と続いていて地震・津波の恐ろしさを改めて思い知られました。
我々の活動拠点である大槌町立寺野弓道場に到着すると、早速、前チームとの引き継ぎを済ませ、もう一つの活動場所である県立大槌病院の仮設診療所を見学。院長先生と挨拶を交わし被災者の方々にお役にたてるよう頑張ろうと皆で誓い合う。
翌日より本格的な活動を開始するも、避難所には被災された開業医(偶然ですが大学の先輩)の先生がおられたことや、2カ月が経過していたことで被災者の方々も落ち着いてきており、一日、約40名の患者さんを診るという現状でした。疾患的にも高血圧、糖尿病などの慢性疾患や風邪様症状の方など我々の日常で診ている疾患です。お薬も院外処方ができる状況になってきておりました。少し変わったところではネズミに噛まれた方、錆びた釘が足に刺さったという方が来られていました。
実際の医療活動はと言うと、特別に何か大きく貢献したということはなかったですが、ご自身も被災され休みなしで診療をされている先生方を少しはサポートできたのかなと考えております。
5月末でJMATの活動は終わっております。しかし、仮設住宅やがれきの運搬等の復興は遅れております。梅雨、猛暑、魚の腐敗による悪臭やハエの異常発生等の衛生面、家族を喪った失望感や生活不安等の精神面の問題がこれからますます増加してくると思われます。これだけの大災害では単独行動では何もできないことを痛感いたしております。ただ、地元の先生だけではどうにもならないこともきっとあると思います。微力ながら、何らかの形で今後もお手伝いをしていきたいと考えております。今回、北区医師会から会長をはじめ何名かの先生が行っておられます。手を上げられて行けなかった先生もおられるでしょう。私は現地に行ってきてはおりますが、今後、何をしたら良いかという具体的なアイデアを持っておりません。是非、皆さまのお知恵を拝借ができれば幸いと思います。今後ともご教授の程よろしくお願いいたします。
(安達クリニック 安達 一哉)