超音波内視鏡は、内視鏡を食道、胃、十二指腸に挿入して、内視鏡先端から超音波で膵臓、総胆管、および胆嚢などを詳細に観察する精密検査法です。最近では超音波で観察しながら、内視鏡の先端から細い針(19, 22, 25G)を出して、超音波で観察しながら細胞を採取するEUS-FNAが注目を集めています。北野病院では表1の様に2006年から導入し、最近では年間50件ほどの検査を行っています。
対象となる疾患は主に膵腫瘍(図1)、縦隔および腹腔リンパ節(図2)、胃粘膜下腫瘍(図3)ですが、消化管近傍で観察出来る病変はほとんどの物が適応となります。特に、胃粘膜下腫瘍がGISTと診断された場合は外科的手術が第一選択となりますが、当院消化器センターでは腹腔鏡と内視鏡で挟み撃ちにして出来るだけ小さく病変を切除するLECS (Laparoscopy Endoscopy Combined Surgery)も縮小手術の一環として行っています(表3)。
また、この手技を用いて急性膵炎後に発生した膵仮性嚢胞のドレナージ(図4、5)や腹腔神経叢ブロックの治療にも応用しております。血管を超音波にて刺さないように細い針で細胞を採取しますので、比較的安全で重篤な合併症が少ないとされています。
もし、医療関係者の方で診断・治療に困っている症例などありましたら気軽に相談していただければと思います。また、患者の場合は、主治医の先生に簡単で良いので、紹介状および今まで行った画像検査を持参して受診していただければと思います。
表1.EUS-FNA関連手技件数推移
図1.膵頭下部の内分泌腫瘍
図2.腹腔内リンパ節と細胞診
図3.胃粘膜下腫瘍(GIST)
表3.当院での胃粘膜下腫瘍の治療方針
図4.感染性膵仮性嚢胞の内視鏡的治療
図5.感染性膵仮性嚢胞の内視鏡的治療