閉塞性動脈硬化症(ASO)に代表される末梢動脈疾患(PAD)の診療では、従来から大きな問題点が指摘されています。すなわち、患者さんが受診する科によって治療方法が決まるという問題点です。(患者さんの病状によって治療方法が決まるという原則が守られていない。)
この問題点を解決して、真に適切な治療を選択するため、住友病院ではPADに関係する科の部長が一堂に会し、症例検討して治療法など対策を決めています。
PADという疾患の説明、当院PADチーム医療の実際について述べます。
【末梢動脈疾患の診断・治療における 従来の各科別医療の問題点】
・ 患者さんが、最初にどこの科を受診するかで治療法が決まってしまう。
例:心臓血管外科を受診すると、バイパス術。内科を受診すると、放射線科経由で血管拡張術。
腎臓内科を受診すると、LDLアフェレーシス。
・ 組み合わせ治療が困難。
例:ステント留置したために適切なバイパス術ができなくなった。血管拡張術行い、敗血症になった。
住友病院 放射線科、心臓血管外科、皮膚科、形成外科、整形外科、腎センターの各診療科長は、2〜4週に一度、PADの患者さんとの合同カンファレンスを行っています。上流(FontaineII)から下流(FontaineIV)まで、その患者さんに最も適した治療法を選択しています。(図1、図2)
【末梢動脈疾患の診断・治療におけるチーム医療の意義】(図3)
専門家が一同に会し、画像をも参考にして議論することで、その患者さんにとって最も適切な治療法(順序・組み合わせ)を決定できます。
・ ステント留置したために適切なバイパス術ができなくなった。
→ やがてのバイパス術を考慮したステント留置部位
・ 血管拡張術行い、敗血症になった。
→ 血管拡張術と切断術の同日治療
【PAD 住友病院の窓口】
・ 血流障害による間歇性跛行と診断されておられたら、心臓血管外科にご紹介ください。
・ 皮膚症状が明らかであれば、皮膚科にご紹介ください。
・ なにかかハッキリしない場合は、腎センターにご紹介ください。
※ 詳細な内容は以下をご参照ください。(実症例の写真も掲載しております)
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図1.住友病院におけるPAD(末梢動脈疾患)
チーム医療
図2.住友病院におけるPAD(末梢動脈疾患)
チーム医療
図3.末梢動脈疾患の診断・治療における
チーム医療の意義