心房細動は現在2-300万人の方が罹患していると言われる不整脈です。症状が強い場合は抗不整脈薬によるリズムコントロールが第一選択となりますが、抗不整脈薬の効果が不十分の場合はカテーテルアブレーションが考慮されます。心房細動に対するカテーテルアブレーションは本邦では10年ほど前から行われるようになりました。左房にある肺静脈の周囲に心房細動の起源や基質があることがあきらかになっており、通電を行い肺静脈とその周囲の左心房を電気的に隔離することで心房細動の完治を目指すことができます。
しかし、手技的には大変難しく、施行する医師によって成績が大きく異なるといった問題がありました。
CARTOシステムは、3Dマッピングシステムと呼ばれるアブレーション用の医療機器である。電位情報と位置情報(通電したポイントやリアルタイムのカテーテルの位置)を3次元的に表示することができ、特に解剖学的アプローチが必要な心房細動アブレーションには特に有用である。CARTOシステムの最新バージョンであるCARTOSOUNDは、心腔内エコーの画像をCARTO画像にIntegrateさせることができるようになった。本邦では今年(2012年)4月に上市されたが、当院では先行施設として昨年12月に導入された。
CARTOシステムにはCARTO画像とCT画像をIntegrateさせる機能(MERGE機能)がある(図1)。正確にMERGEさせることが出来れば、通電ポイントと肺静脈、カテーテルが同時に可視化できるため極めて有効な機能となるが、正確にMERGEすることはしばしば難しいという問題があった。我々は、CARTOSOUNDを用いてCT画像MERGEするノウハウを考え出した(図1)。この方法で、従来の方法よりもずっと簡易に良好なMERGEが得られるため、透視時間が劇的に減少し(図2)、被曝量が少なくなり(図3)、造影剤使用量(図4)も減った。
現在、CARTOSOUNDを用いたMERGEの方法として、我々の方法が全国でもStandardとなりつつある。
最新機器であるCARTOSOUNDの導入により、合併症のモニタリングを行いながらのアブレーションも可能となった(図5)。
このような最新機器の導入とその使用法の確立により、より安全で、より患者に優しい心房細動アブレーションが実現している。
図1.CARTOSOUND®下でのアブレーション
図2.CARTOSOUNDの透視時間短縮効果
(発作性lAF症例、同一術者)
図3.CARTOSOUNDの被曝量軽減効果
図4.造影剤使用量の減少
図5.CARTOSOUNDによる合併症モニタリング
左房内血栓